―教職大学院を設置する意義をどう捉えていますか。
戦後50年間の教員養成のあり方を、大きく転換させるきっかけになると考えています。一つは、大学の都合で学部や大学院をつくる時代から、デマンドサイドに立って大学を構想する時代になったということです。専門の学芸を教えていれば、それが教師の力になるという考え方は大学の都合によるもの。
教育現場や生徒のことを考えれば、アカデミックな能力と教育を実践する能力が一体化していなければいけません。教職大学院ができれば、ようやくその方向性に動き出すことでしょう。そのことが従来の教員修士プログラムのあり方を問い直すきっかけにもなり、それぞれが良い面を発揮し合うようになればいいと思っています。
もう一つは、教員養成の「開放制」に新しい面を付加したことです。特定の教員養成機関ではない一般の大学や短大出身者でも、所定の単位さえ修得すれば教員免許状が与えられるこれまでの開放制は、教員の量の拡大を促してきましたが、教員の質の向上に対しては機能していませんでした。教職大学院が育成すべき人材として、管理職ではなく、スクールリーダーという言葉を用いているのも、教員に要求される様々な実務に即した教育をしてほしいとの思いがあるからです。
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