特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 12/34 前ページ 次ページ

追跡調査の継続が成果を測るカギ

 お茶の水女子大学附属高校の生徒は「高大連携特別教育プログラム」をどのようにとらえているのだろうか。
 2007年3月に同大学附属高校の新聞部が行ったアンケート結果を見ると、同プログラムに対する関心の度合いがうかがえて興味深い(図2)。「選択基礎」の受講については、1年生の23%が「応募する」、2年生の7%が「応募した」と回答した。その理由として、「お茶高生だけのシステムを活用したい」42%、「授業に興味がある」24%、と回答している。同プログラム開始前は例年、同大学附属高校からお茶の水女子大学への進学者が5人前後ということから考えると、授業そのものや同プログラムに対して生徒が期待を抱き、同大学への進学を意識していることが読み取れる。
 2008年4月には、同プログラムを受けてきた生徒が初めて入学する。どのような生徒が入学してくるのか、プログラムを経験していない他学生と比べたときどのような違いがあるのか、大学での学びや生活へのなじみやすさに違いはあるのか。追跡調査を続けることが、プログラムの成果を正確に把握することにつながる。

図表

 お茶の水女子大学の米田俊彦附属学校部長は、今後の取り組みについて次のように話す。
 「特別選抜によって入学した学生には、高大連携特別教育プログラムで得た知識を大学での学びに生かしてくれることを期待している。特別選抜での募集人数が少ないため、統計的に有効な結果が得られるかどうかについては疑問が残る。しかし、インタビューを行うなどして、大学入学後の学生を追跡調査していきたい」
 同プログラムは今後も継続される。調査対象となる学生数が増えれば、その成果を数値化するなど明確な形にし、検証することもできるだろう。同プログラムは高校・大学の7年間で完結する取り組みであり、大学入学と同時に終了するものではない。大学卒業後の進学、就職後まで追って検証することが理想である。
 長期にわたる追跡調査を、最初から最後まで同一メンバーで手掛けていくことは難しい。この点も含めて、安定した調査を継続させるための体制づくりは今後の大きな課題の一つであり、「子ども発達教育研究センター」と協力して進めていきたいとしている。
 高大連携特別教育プログラムの3年間の成果は、2008年1月中旬開催のシンポジウム「高大連携に基づく女性の能力開発」で発表される。特別選抜の実施という大きな区切りを迎えた時点での報告が多くの大学関係者にとって興味深く、意義あるものとなることを期待したい。


  PAGE 12/34 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ