1999年に中央教育審議会が出した「初等中等教育と高等教育との接続の改善について(答申)」では、高校と大学との接続の改善が大きな課題として取り上げられたが、それだけではなく、小中高大の接続も問題視された。それに加えて、学校教育と職業生活との接続が課題とされた。要するに、学校と社会、教育と職業、知識と労働の乖離(かいり)が問題となったのである。言い換えれば、学校から社会への移行をめぐってさまざまな問題が指摘された。
例えば、フリーター志向の広がり、無業者の増加、早期離職、働くことへの関心や意欲・態度、目的意識、責任感といった広い意味での勤労観・職業観の未熟さ、コミュニケーション能力、対人関係能力、基本的なマナーなど、職業人としての基礎的資質・能力の低下等である。
このような問題は、従来、進路指導の教育課題とされていたが、十分にその効果を上げるには至らなかった。それは進路指導の課題であると同時に、学校教育の課題であり、社会の課題である。キャリア教育は、このような課題を解決するために提唱された。すなわち、教育の「職業的意義(レリバンス)」を高めて、“School to Work”の課題に応えようとするのがキャリア教育である。
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