関西大学は、1886年に設立された「関西法律学校」が前身だ。当初は建学の精神が明文化されていなかったが、後年になって「正義を権力より護れ」という理念を打ち出し、受け継がれるようになった。
1922年、大学令を受けて旧制大学に昇格した際には、総合大学にふさわしい教育・研究の理念として、「学理と実際との調和」を意味する「学の実化(じつげ)」というスローガンを打ち出した。以降、これが学是として定着した。
この学是の下、2008年、10年間を展望し、学園全体がめざすべき将来像を明確化した長期ビジョンを策定した。その中で、学是に基づいて育成する人材像として「社会を見つめ、変化に挑む。『考動』する関大人が世界を拓く」を掲げた。こうした人材を小中高の12年一貫教育で育てるため、2010年度、大阪府高槻市に、新たに関西大学初等部・中等部・高等部を開校する。
小学校の設置は同大学にとって初の試み。芝井敬司副学長は「全国から多様な学生が集まってくるのが本学の利点だ。同時に、初等部から12年間をかけて本学の学是やカラーを吸収した、大学のコアの部分を支えてくれる学生を育成し、外部から入学した学生との相乗効果を生み出したい。これが小中高一貫校開設の大きな目的だ」と語る。 |