今後、高大連携の体系化を進め、連続性を担保するためには、何よりも高校での履修状況に配慮した取り組みが重要だ。特に、修学意識や生活態度が未成熟、あるいは学習意欲や社会性が乏しい学生を円滑に大学生活へと移行させるためには、高校での学習状況等の情報の引き継ぎ、初年次教育の充実など、高校との連携をいっそう緊密にする必要がある。実効性ある施策を行うには、高校・大学の双方が管轄部署を明確にして責任を分かち、協働することが求められるだろう。
こうした高大連携の枠組みをつくる前に、十分考慮しなければいけない点がある。それは高校の実態把握であり、大学として高校生の気質・意識の変化をどのように受け止めるかという視点だ。
本人の学力、学習行動、在籍する高校の教育施策によって、進路意識や大学選択行動は当然、異なる。高校教員は、今の高校生が「モラトリアム志向」で、「個人的価値観」を優先する者が増え、さらに資格取得志向に代表される「実用志向」があまりにも強くなっていることを懸念している。 |