特別企画

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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CASE4

教育重視の姿勢を
学内外に伝える『授業批評』


大同大学

大同大学は、2001年度から教員が持ち回りで授業を公開し、
その内容を報告する『授業批評』を発行している。
「批評」というタイトルには、なれ合いや褒め合いを排し、
授業改善を推し進める強い決意が込められている。授業の公開や
『授業批評』によって、教育重視の姿勢は学内外に伝わりつつある。

危機を乗り越えるために全教員の授業を公開

写真
『授業批評』には、授業開発センターの活動の総括や学外からの寄稿なども掲載される。

 大同大学(2009年4月に大同工業大学から名称変更)は、授業開発センター所報『授業批評』を年4回発行している。これは、専任・非常勤を問わず全教員を対象に、授業を公開する「研究授業」と、その後に授業担当者と参観者が議論する「授業研究会」の内容を報告する冊子だ。各教員の授業の実態がつまびらかにされているため、原則として学内教職員向けという位置付けだが、FD関連の研究会や講演会などを通じて交流のある約30大学の教育センターにも送付している。
 研究授業と授業研究会を始めた背景には、入学者の基礎学力や学習意欲の低下、大学で学ぶ目的意識の希薄化といった問題が、1990年代に学内で浮上したことがある。1995年には、教授会において「教育重視型大学への自覚的転換」を宣言。これを具体化するため、1999年に澤岡昭学長が委員長を務める教育体制改革委員会を発足させ、2年近くかけて新たな教育システムについて議論した。その結果、恒常的に授業改善をサポートする「授業開発センター」の新設を決定。教員一人ひとりの教育力を向上させる方策として、授業を公開し、改善点を探る研究会を行うことにした。
 学内で発表した当初、一部の教員から「なぜそこまでするのか」「研究が忙しいのにそこまでできない」という声が挙がった。こうした反対を乗り越え、2001年3月、原則として全教員の授業公開を宣言した「大同工業大学授業憲章2001」が教授会において審議・承認された。
 研究授業と授業研究会は、教養部および工学部と情報学部の各学科によるローテーションで進められ、年間18回を目安に開催している。全教員を対象にしていること、『授業批評』で内容を公開している実績などが認められ、2005年度には、文部科学省の特色GPに選定された。


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