「専門的知識」については、学習活動における諸経験のうち、「教員からの指導や助言」が最も強い影響を与えていることがわかる。また、「授業や実験への出席」もさることながら、「授業外での自学自習」がより大きく影響していることもうかがえる。
「問題解決力」や「批判的思考力」については、「授業・実験への出席」の影響力は比較的小さく、それ以外の学習経験(授業外での自学自習、授業内容について他の学生と議論、教員とのかかわり)のほうがより強く影響している。これは、学生の主体的な学びに加え、教員の関与や学生同士の学び合い(ピア・エデュケーション)がいかに重要であるかを物語る結果といえよう。この3つの学習成果においては、課外活動はほとんど影響を与えておらず、「アルバイト」がある程度関係しているのみである。
一方、「コミュニケーション力」「チームワーク」については、課外活動、中でも「クラブ活動」の影響力が目につく。学習活動面においては、教員とのかかわりが依然強い影響を与えているが、「授業・実験への出席」との関係性が見られないのは一考に値する。
近年は「学生参加型授業」の重要性が叫ばれ、グループでのディスカッションや、PBL(課題/問題解決型授業)によってコミュニケーション力やチームワークが身に付く可能性は大いにある。しかし、伝統的な講義形式の授業、つまり教員と学生、学生同士がインタラクティブに学び合う授業でなければ、こうした力が身に付くこともないであろう。
なお、「ボランティア活動」は、どの学習成果項目に対してもほとんど、もしくは全く影響を及ぼしていない。そもそも、本調査に参加した学生の中でボランティア活動に従事した経験のある者自体少ないのだが、ボランティア活動は本来、学生の認知面および情緒面の成長に大きな影響を与える経験である。よって、「サービス・ラーニング」のような形で、ボランティア活動を大学教育の中に積極的に取り入れる工夫がもっとあってもよいのではないだろうか。
|