「各学部の定員数情報」「教員組織や施設・設備等の情報」などの基本情報は、9割近い大学が公開している。一方、公開が進んでいない情報の一つが、「退学者数・休学者数に関する情報」である。「今後新たに公開する予定もない」が半数近くに上る。大学関係者には、「退学者数や休学者数は、その理由と併せて評価・判断してもらう必要がある。表面的な数値だけで判断されては困る」という考えから、公開に対する強い懸念がある。こうした点も視野に入れ、今後の情報開示に向けたルールづくりと関係者の合意形成が必要である。
一方、いまだ積極的に公開されていないもう一つの情報が「学生の学習成果に関する情報」である。学士課程答申の趣旨に照らしていえば、今後、各大学の教育内容・成果は、学生・保護者や企業に対して、積極的に公開されるべき最も重要な情報といえる。
3つのポリシーのうち、アドミッション・ポリシーは約7割の大学で情報公開されているが、カリキュラム・ポリシーは約4割、ディプロマ・ポリシーは約3割の情報公開にとどまる。この2つのポリシーは、「今後新たに公開を予定、または検討する情報」で上位にある。なお、ディプロマ・ポリシーの学部段階の設定状況は3割である。文部科学省の「大学における教育内容・方法の改善実施状況について」によると、学部段階においてアドミッション・ポリシーを設定している大学は約72%で、そのうち、求める学生像だけでなく、高校段階で習得しておくべき内容・水準を規定している大学は約8%と少ない(いずれも2007年度)。
3つのポリシーの設定とその情報公開を進めること、「質保証の成果」を公表することが、今後、取り組むべき優先事項である。 |