図表1は、大卒採用の際、学生の潜在能力を重視するか、それとも即戦力を重視するかを聞いた結果である。「潜在能力重視」(「潜在能力を重視」「やや潜在能力を重視」「どちらかといえば潜在能力を重視」)と回答したのは、全体で59.4%。約6割の企業は学生の潜在能力を重視した採用を行っている。
この傾向は、従業員規模の大きい企業であるほど強く(「1000人以上」74.3%>「500人以上999人以下」55.8%>「499人以下」50.3%)、また、非上場企業より上場企業の方が強い(「上場」80.8%>「非上場」55.8%)。
サンプル数が少ないため参考値ではあるが、産業別では、建設業が83.9%と最も高く、医療・福祉が30.4%と最も低い。国家資格取得者を採用し、直後から専門的業務に従事させることが多い医療・福祉業界では、潜在能力より即戦力が必要とされている。
企業が採用時に重視するのは、学生が「今、何ができるのか」よりも、「この先、何ができそうか」であると解釈できる。これからの組織の中核を担う人材を、中長期的な視野で育成していくことを念頭に、採用していると考えられる。
ただ、この調査の実施直後から経済情勢は急速に悪化し、企業は採用を絞り込んでいる。そのため、即戦力を重視する度合いはある程度増している可能性もある。 |