真のリーダー育成を目指して 盛岡第一高校の考える人材育成

「Think Globally Act Locally」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「威光」を持った教師が必要とされている

――鈴木先生は授業でどのようにしてパーソナリティーを生徒に見せているのでしょうか

  「授業のコアは問答である」が私のスタンスです。生徒には「夢をかなえたければ俺を超えろ」と口ぐせのように語っています。「〜という文法を覚えたら受かる」などと即物的に言っても生徒には響きませんから、ある意味で生徒を挑発して、「今に見てろ」と思わせるんです。そして、実際に授業中の質問などで、私をうならせるような回答をした生徒には、「お、俺を超えたね」と必ず声をかけます。努力したことや伸びてきたことをきちんと「認めて」あげることが、生徒の次のアクションにつながるんです。また、もう一つ心掛けているのが、常に「自分のすべきこと(Mission)」を生徒に意識させることです。ともすると、人間は安きに流れやすいものですが、その時々に何を成すべきかを自覚し、実現のために最大限の努力をしていれば、充実した生き方ができるでしょう。授業のみならず、その他のさまざまな場面でも「今の君のMissionは何だ?」と問いかけて、生徒に今取り組むべき課題を自覚させています。

――そうした指導は、授業を通じた「生き方指導」でもありますね。

  しかし、ここで難しいのは、生徒との距離の取り方です。人間としての触れ合いがあるといっても、教師は単に身近な存在であるだけではダメなんです。むしろ、授業の中では「教える側」「教えられる側」という絶対的な立場の違いを意識した人間関係を築かなくてはならないと感じています。あまりにも身近な人に褒められたり、価値観を語られたりしても、生徒は達成感や満足感、刺激を感じません。しかし、「教える側」の教師に対して、尊敬や敬意があれば、受け止め方は全く違ってきます。いわゆる「化ける」という状態は、こうした人間関係があって、初めて成立すると思うんです。

――確かに教師が身近になりすぎたことについて、反省の声も強いですね。

  私見ですが、「お兄ちゃん先生」「お姉ちゃん先生」になっては絶対にいけないと思っています。言葉は厳しいですが、「人づくり」が教育の原点である以上、教師は「威光(威信)」を持たなければならないと感じています。それは単に威張って生徒を強制的に服従させるような権威を振りかざすということではありません。専門科目に対する深い知識やスキルを身に付けるため研鑽に励み、更に、教える力、人格、識見を高めて、初めて生徒の尊敬は得られるものです。特に本校の生徒の場合、教師が生半可な姿勢で授業に臨んでもすぐに気付いてしまいます。プロとしての高い職業倫理が必要ですよね。


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