特集 「学校力」を考える(2)「学校経営力」を高める
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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抽象的でも教師間で共有できる目標設定こそ必要

 経営の中で大切なのは、教師が日々の教育活動を「リフレクション」し、その過程からビジョンと目標を生み出していくことです。リフレクションとは、取り組みの振り返りをすることです。そのプロセスで課題を顕在化していく。そして、現場の実感に基づく課題や解決法を、ビジョンと目標に反映させていく。私は、このサイクルこそが学校経営のベースになると考えています(図1)。

図1

  昨今、学校にも経営指標として「数値目標」を設定し、保護者や地域社会など外部への説明責任を果たすことが求められています。しかし、教師が現場の切実な課題を踏まえた数字として実感できなければ、目標達成に向けた活動にはつながりません。
  もちろん、目標の数値化を否定しているわけではありません。「数値化することのみに意味がある」という考え方が問題だと思うのです。仮に、「自学自習力をつける」「進路指導を体系化する」という数値化されていない目標でも、教師の日常的な実感とつながっているのなら、それでよいのではないでしょうか。その学校の教師が、目標を豊かなイメージを持って理解し、教師間で共有できてこそ、その目標の実現に向けて、全教師が動機付けられるのだと思います。
  意味のある目標であれば、抽象的な言葉でもよいのです。ビジョンと目標を、自校の教師が実感を持って共有できれば、更にそこから教科や学年、分掌ごとの具体的な行動計画に発展できるのではないでしょうか。実は、これが最も重要なポイントです。数値目標を達成すれば学校の経営的な課題が解決される、というわけではありません。日々変化し、成長する生徒たちを前に、その目標が本当に生徒の実態や学校の課題に即したものであるかどうかが、常に問われているのです。


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