指導変革の軌跡 岐阜県立関高校「学力向上フロンティア事業の継承」
VIEW21[高校版] 新しい学力向上フロンティア事業の継承のパートナー
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実施が危ぶまれた「高校生研究者たち」

 フロンティア事業以来、躍進が続いている同校だが、道のりは決して平坦ではなかった。
 「『高校生研究者たち』に意味はあるのか」
 例年、何人かの教師から疑問の声が上がっている。「高校生研究者たち」は、1年生の夏休みの課題研究として、生徒が題材を自由に選んでレポートにまとめるテーマ学習である。自ら課題を発見し、興味・関心を広げる取り組みとして、フロンティア事業開始以来、重視してきた。しかし、準備や発表に労力はかかるのに、学力向上にどれだけ寄与しているのかという実証が難しい。当時の1学年団にはフロンティア事業以後に赴任した教師が多かったこともあり、居波先生らは「高校生研究者たち」の意義を学年団に改めて説明し、快諾を得て実施に至ったという。
 「確かにこの取り組みを2年生で別の形で発展させたり、具体的な志望につなげたりといった工夫はできていません。3年間の進路指導の中にきちんと位置づけられれば、実施する意義も浸透すると思いますが、2年生以降は進路行事が目白押しのため、更に掘り下げたテーマ学習を行うのは難しいのが実状です」(居波先生)
 「関高学力スタンダード」にも課題はある。冊子は原則として毎年、学年団の教科担当が改訂して、生徒に配付する。ただ、生徒の実態は年々変わり、使用する教材も一定ではない。年度ごとに実情に合わせた改訂が必要だ。また、冊子の作成や改訂を通して、教材研究や分析力、指導力向上に役立てるというねらいもある。
 ところが、実際には最初に作成にかかわった教師が改訂し、事業後に赴任した教師は校正のみに携わる場合がほとんどだという。国江先生は「新しく転任されてきた先生方としては、最初に作成した教師に気兼ねして、大きく変えられないのでしょう。改訂には多大な労力がかかりますから、我々としても依頼しづらい面もあります。実際に使う先生方が使いやすいように改訂してほしいのですが…」と打ち明ける。


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