調査データから探る指導のヒント 「興味のある学問分野」で大学を選んだ学生は約65%
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調査データから探る指導のヒント vol.2

「興味のある学問分野」で大学を選んだ学生は約65%

ベネッセ教育研究開発センター「大学生の学習・生活実態調査報告書」より

将来を考えた大学選びの指導により一層の注力が必要

 は、大学1〜4年生に、「受験する大学・学部を決める際に重視したこと」について、当てはまる項目を挙げてもらった結果だ。「興味のある学問分野があること」が最も多く、次いで「入試難易度が自分に合っていること」「自宅から通えること」が続く。
 上位の項目を見ると、学生はきちんと考えて志望校を選んでいるように思える。ところが、この結果を見た高校教師は、「興味のある学問分野を重視した割合は、もっと高くなければならないのではないか」と指摘する。ほとんどの高校では、「学びたい学問」や「将来就きたい職業」をよく考え、それを土台として志望校を選ぶように指導している。にもかかわらず、約35%の学生は必ずしも学びたい学問を重視して大学を選んではいないようだ。「興味のある学問分野があること」の類似項目には「取りたい資格や免許が取得できること」があるが、興味のある学問分野を選ばなかった学生のうち、10.3%しか、この項目を選んでいなかった。
図

*「上記にあてはまるものはない」の項目は省略した

出典◎『大学生の学習・生活実態調査報告書』/
調査時期◎2008年10月/調査方法◎インターネット調査/
調査対象◎18〜24歳の大学1〜4年生(ただし、留学生、社会人経験者を除く)/
有効回答数◎4,070名 ※( )内はサンプル数

 そこで、「興味のある学問分野があること」を「選んだ学生」と「選ばなかった学生」の回答に違いはあるのか分析したところ、「選ばなかった学生」は「選んだ学生」より他の質問項目で比べても選択率が低いという結果が出た。「選ばなかった学生」はあまり複数の観点から大学を吟味していない、と推測される。
 もう1つ、教師から指摘があったのは、「志望校選びがかなり現実的になっている」点だ。自分に合っている入試難易度や入試方式の大学、自宅から通える大学であることが、重視したことの上位に入っている。堅実といえる半面、「受験だけでなく、入学後の生活面でも安全を選ぶ、『そこそこ志向』がうかがえる。志望校合格という動機付けの維持が難しくなっている要因かもしれない」という高校現場の声もあった。
 現場では今でも十分、将来を考えた志望校選びの指導に力が入れられているが、その意識が生徒たちに本当に浸透しているのか。いま一度、確認する必要があるかもしれない。

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