特集)新課程を機に現行課程を振り返る

福島県立安積黎明高校

◎安積郡立安積実科高等女学校として創立。1948年に安積女子高校となり、2001年度に共学への移行と共に名称を安積黎明高校に改称。福島県東部の郡山地区を代表する進学校で、部活動も盛ん。コーラス部は全日本合唱コンクールで30年連続金賞受賞。

設立●1911(明治44)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約320人

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大は東北大、千葉大、東京学芸大、東京農工大などに計188人が合格。私立大には、青山学院大、慶應義塾大、法政大、明治大、早稲田大などに延べ398人が合格。

住所●〒963-8017  福島県郡山市長者2-3-3

TEL●024-932-0443

WEB PAGE●http://www.
asakareimei-h.fks.ed.jp/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例1】福島県立安積黎明(あさかれいめい)高校

新課程を契機に
導入期指導の成果を
学校活性化に生かす

現行課程施行時に「共学化」という変化も経験した福島県立安積黎明高校。
生徒の変化に導入期指導と授業時間の変更で対応し、一定の成果を上げた。
新たな課題への対応を進める今、新課程を更なる飛躍の契機ととらえている。

「現行課程」と「共学化」二つの課題への対応を迫られる

 「安積女子高校」から「安積黎明高校」に改称し、共学となったのは2001年度のことだった。現行課程が始まった03年度には3学年共にようやく男女共学になったばかりで、この時期、同校は「現行課程への対応」と「共学化への移行」という二つの課題に対応する必要があったのだ。
 進路指導部の伊東光司先生は、03年度以降に入学してきた現行課程の生徒に対して、ある質の変化を感じていた。それは、基礎的な学力が落ちてきているということだ。
 「3桁の簡単な計算でもミスをする生徒が増えていました。恐らく、中学時代までに反復学習をあまりしていなかったからではないかと思います。出来るだけ早い段階で、高校での学習に耐えられるだけの基礎学力を身に付けさせることが課題でした」
 また、進路指導部長の遠藤修先生は、学習に受け身な態度の生徒が増えていると感じていた。
 「『与えられたことしか勉強しない』という生徒が目立つようになりました。課題を出せばきちんと解いてくるのですが、それ以上の発展的な学習に自ら取り組もうとする意識が低いのです。生徒に対して、単に教科を教えるだけではなく、学び方や学ぶ姿勢も教える必要がありました」
 遠藤先生は、受け身な姿勢の生徒が増えたのは共学化の影響も大きいと話す。かつて福島県の県中学区では、男子校では安積高校が、女子校では安積女子高校がトップ校に位置付けられていた。それが01年度に両校が共学化されて以降、学力最上位層の生徒や、中学校で強いリーダーシップを発揮していたような生徒は、安積高校を選ぶケースが顕著になった。一方で安積黎明高校には、まじめで素直ではあるのだが、受動的な生徒が増えてきたというのだ。
 「生徒の基礎力を固めると同時に、自ら学ぶ姿勢を身に付けさせなくてはならない」。現行課程のスタートと共学化を起因とする生徒の質の変化に対応することが、当時の同校の切実な課題となっていた。

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