特別企画 現場教師の疑問に答える「全国学力・学習状況調査」Q&A
高口 努

▲高口 努

Takaguchi Tsutomu

文部科学省初等中等教育局教育水準向上PT学力調査室長


VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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現場教師の疑問に答える

「全国学力・学習状況調査」Q&A

2007年4月、いよいよ「全国学力・学習状況調査(全国的な学力調査)」が実施される。問題の内容や実施方法などについて、疑問や不安を抱く教師は多いだろう。現場の教師から小誌に寄せられた学力調査に関する疑問・質問について、文部科学省の高口努学力調査室長に答えていただいた。

■「全国学力・学習状況調査」の実施概要
実施日: 2007年4月24日(08年度以降は4月第4火曜日に実施)
対象学年: 小学6年生、中学3年生(原則として全児童・生徒が対象)
実施教科: 小学校/国語、算数
中学校/国語、数学
小・中学校共に学習意欲や生活習慣などを問う質問紙調査を併せて実施
■掲載データは『VIEW21』編集部が実施した「全国的な学力調査に関するアンケート」から抜粋
●調査概要  
実施時期/ 2006年4月〜5月
調査対象/ 『VIEW21』小学版および中学版の読者(全国の現職教師)
有効回答数/ 小学校:121人、中学校:167人

1 スケジュールや出題内容について

Q.1
学力調査の実施から結果返却に至るまでのスケジュールを詳しく知りたいのですが。

A.1
  2006年11月から12月にかけて、全国の小・中学校各94校を対象に予備調査を実施しました。その結果を踏まえて、学力調査の手順や時間割などをまとめた実施マニュアルを作成し、07年1月中に各校に配付する予定です。
  本調査は4月24日に実施しますが、問題用紙は実施日の直前にお渡しします。これは、各校が問題用紙を保管する期間をできるだけ短くすることで、情報の漏えいを防ぐためです。
  実施後すみやかに、出題内容や狙い、解答例、採点基準、指導のポイントなどを整理した解説資料を配付しますので、指導に活用してください。調査結果の返却は、現時点では9月ごろを予定しています。

Q.2
本調査に先行して、予備調査が行われましたが、予備調査を受けた学校が有利になることはありませんか。

A.2
 もとよりこの調査は得点を競うものではありませんが、予備調査を受けたのは06年度の小6生および中3生です。07年度に本調査を受ける児童・生徒とは学年が異なるので有利になることはありません。
  もちろん予備調査と本調査では、全く異なる問題が出されます。

Q.3
出題範囲、および問題形式を知りたいのですが。

A.3
 小・中学校共に、前学年までの履修内容が出題範囲となります。特に、小学校は小5、中学校は中2で学んだ内容からの出題が多くなります。
  問題形式は、選択式に加え、一定の割合で記述式が含まれます。

Q.4
この調査ではどのような「学力」を測ろうとしているのですか。また、「活用」にあたる問題は、学習指導要領に準拠した内容となるのでしょうか。

A.4
 学力調査の問題は、「知識」と「活用」に大別されます。これらはそれぞれ、学習指導要領が掲げる「基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着」、および「自ら学び自ら考える力の育成」に対応しています。知識、そして活用を問う問題のいずれも、学習指導要領から逸脱することはありません。
  また、最近は「PISAのような問題は出ますか」という質問をいただくことがあります。PISAは、主として、習得した知識や技能をいかに実生活に生かすかを問う調査です。
  その中には、当然、学習指導要領と重なる内容がありますから、本調査においても活用を問う問題として、PISA型の問題が出されることもあるでしょう。それでも、あくまでも学習指導要領の範囲内とお考えください。

Q.5
学力調査を行う意義はわかりますが、授業時数が減ってしまうのが心配です。

A.5
 学力調査実施には、国語と算数・数学を合わせて、小6生は3単位時間、中3生は4単位時間程度を充てる予定です。
  確かに、その分の授業を行う時間は減りますが、学力調査の狙いは、各校の課題を把握し、授業や教材の研究・改善に結び付けることです。それによって指導が改善されれば、結果として学校全体にとってプラスになるものと考えています。

図1

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