特集 つながる小中の「学び」―小学校から中学校、その接続を考える―

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
  PAGE 4/17 前ページ  次ページ

4 数学と英語は興味を引き出す導入時の工夫が重要

 教科ごとの意識にも注目したい。05年3〜4月にベネッセ教育研究開発センターが実施した文部科学省委嘱調査「義務教育に関する意識調査」では、中学生になると、教科学習が「とても好き」「まあ好き」と答える割合が総じて低くなる(図2)。中でも顕著な変化を見せるのが「算数・数学」で、小6から中1にかけては、55.0%から28.5%にまで低下する。中1の時点では、他教科と比べても著しく低い。学校段階別の結果で見ても、算数・数学は、小学生と中学生の差が際立って大きい

図2
  また、新たな教科となる外国語(英語など)を好きと回答する割合も、他教科に比べると低い。特に、外国語の場合は学年を追って下がる傾向があり、中3では全教科中、最も低くなる。一方で、広島県呉市立二河中学校の調査(図3)では、小学生のときに「楽しみにしていた教科」として、英語を挙げる子どもが多く、数学に対しても半数近くが期待感を抱いている。
  その半面、英語および数学を「不安に思っていた」とする割合も他教科に比べて高い。数学と英語に対しては「楽しみだけど不安も大きい」という気持ちを抱いて入学する子どもが多いようだ。

図3
※ 二河中学校の実践についてはP.9参照
  では、数学と英語でのこうしたギャップの背景には何があるのだろうか。
■数学
  小学校の算数では日常的な事象で例示しやすい具体的な概念が中心だったのに対し、中学校では抽象的な概念に重点がシフトする。それに伴い、道具などを用いてグループ単位で学習をする機会が減り、講義形式の授業が中心になることも、子どもにとっては大きな変化と受け止められるだろう。
  小学校から中学校に上がる時期の子どもは発達の個人差が大きく、抽象的な概念の理解にも開きがある。そこで、授業に具体物を取り入れるなどの工夫が、子どもの理解を助けると考えられる(数学の実践事例はP.12参照)。
■英語
  近年は多くの小学校で英語活動が取り入れられているが、あくまでも英語に親しむことをねらいとした「聞く・話す」が活動の中心だ。そこで、中学1年生の導入時には、会話やリスニングを中心に授業を進め、英語に慣れさせることを中心にしながら、徐々に文法事項の学習を取り入れていくのも効果的だろう。また、単純な反復学習だけではなく、歌やゲーム、ロールプレイなどを取り入れる工夫も望まれる。
  また、これまで本格的に英語を学んだことのない子どもは、“日本語”と“英語”を行き来して思考することに慣れていない。常に日本語を介して指導するのではなく、さまざまな表現パターンをそのまま覚えさせるなど、英語の世界に直接入っていけるような工夫も必要だろう(英語の実践事例はP.15参照)。


  PAGE 4/17 前ページ 次ページ
目次へもどる
中学校向けトップへ