特集 教員養成システムの論点

明石 要一
千葉大学教育学部長

明石 要一


あかし・よういち
1948年奈良県生まれ。76年東京教育大学大学院博士課程満期退学。千葉大学教育学部助手、講師、助教授を経て、93年教授。05年学部長に就任。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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【インタビュー】
千葉大学教育学部長
明石 要

技量検定に基づく免許更新制を

現職教員も対象にすべき

 法曹、医師、薬剤師など高度専門職の資格・免許は、一生にわたって保証されるが、教員免許には更新制度が必要だと明石要一教授は考えている。「教員は、長く続ければ続けるほど児童・生徒との年齢差が広がっていく。そのため、彼らが発する信号をキャッチできなくなるなど深刻な問題につながりかねない。だから、意識的に教育技術の研鑽に努めなければいけない」。
 教育現場では、法定研修として1989年度から初任者研修が、02年度から10年経験者研修が導入されたほか、教科指導や生徒指導など様々な専門的研修が各教育委員会で実施されている。「これらの研修がきちんと機能していれば、免許更新制を導入する必要はない。研修が十分に機能していないため、教員の質に対する批判が高まっているのだろう」。
 千葉県教委の各種教員研修に関わってきた経験から、研修の問題点を次のように指摘する。「小学校の2種免許を持つ教員が1種免許を取得する、あるいは中学校の免許を持つ教員が小学校の免許を取得するための研修は、みな熱心に受講している。ところが、10年経験者研修では、能力向上に対する意識の低さが目立つ」。新たな免許の取得という条件でもなければ、真剣に能力向上に取り組む教員は少なく、更新制の導入はインセンティブになると考えている。
 中教審の改革案では、新規採用者に限って免許更新制を適用することになっている。「免許更新制の導入に踏み込んだ点は高く評価したい。しかし、現職教員に対する社会の目は厳しく、更新制の対象からはずすのは、ニーズにまったく応えていないと言わざるを得ない」と指摘。現職教員への適用を強く主張する。


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