活動の発端は、1960年代までさかのぼる。学生自治会は、新入生に下宿の探し方や学生生活のノウハウを教えるオリター活動を始め、大きな役割を果たすようになった。ほぼ同じ時期に、大学が１年次を対象に小人数クラスによる「基礎演習」を導入。そこに、オリターが自主参加するようになった。その結果、１年生は上級生との絆が深まり、授業に積極的に参加するようになるなど、教育効果が上がることが確認された。
　当初は、一部の学部学科の熱心な学生の自主的活動だったが、91年度に「オリター制度」として大学の正式な教育支援制度の中に位置付けられ、92年度から全学で実施。
　その背景について、浅野課長は、「多様化する学生に対応するためにオリター活動を活用したい大学と、自分たちの活動を大学に認めてもらいたいという学生の願いが一致したのだろう」と見る。
　オリターは２年生以上の学生が対象で、最近５年間のオリター平均年間登録者は６４５人。登録者数が最も多い産業社会学部では、新入生５〜６人に１人のオリターが配置されている。
　「基礎演習」の目的は、（1）大学の構成員としての自覚を促す（2）専門を学ぶための導入教育（3）レポートの書き方など大学での学び方の指導、の３点。
　前期の授業では、新入生が学生生活になじめるようオリターは、様々な支援をする。キャンパス内の各施設や相談窓口の場所、履修登録の方法などを教える。授業以外でも、新入生歓迎の各種イベントやスポーツ大会などの企画と運営をする。これらの役割は全学部共通だ。オリターの任期が前期だけで終わる学部もあれば、通年で授業に参加させる学部もある。
　制度導入当初のオリターの役割は学生生活支援が中心だったが、次第に学習スキル習得の支援に力を入れるようになった。現在では、学部によっては「基礎演習」の次の時限に「サブゼミ」を設定し、オリターが個別に学習相談に応じたり、次の授業での発表資料の作成を手伝ったりする。「基礎演習」の１年間の成果を発表する「基礎演習ゼミナール大会」では、プレゼン資料の作成や当日の運営を手伝う。