オリター組織はオリター団と呼ばれ、各学部の学生自治会に所属する形になっている。活動の指導は、各学部執行部のメンバーである学生主事の教員が担当する。オリター団は大学の指導を受ける代わりに、活動経費の補助を受ける。
　導入教育を支える一員として、学内での発言力も強い。例えば法学部では、オリター団の声を受けて、教員によってバラバラだった「基礎演習」の内容を統一するための「基礎演習担当者マニュアル」が整備された。
　１年生を対象に実施したアンケートでは、90％以上が、オリターの指導を「大変良かった」「まあ良かった」と回答。浅野課長は「下級生にとって大きなメリットがあるのは当たり前。むしろ、活動を通じてオリター自身が成長していることが大きな成果」と語る。オリターからは、「教員の気持ちがよくわかった」「素朴な質問を受け、自分が学ぶべきことについて逆に気付かされた」などの声が寄せられている。「教えるスキルが身に付くことよりも、大学で学ぶ意味を理解する方が重要で、制度はオリター自身への教育の仕組みとして有効だと確信している」。
　学生間の口コミもあり、オリター希望者は多く、募集で困ったことはない。希望者は２年生が圧倒的に多い。入学してすぐに先輩のサポートを受けて感動し、「自分も後輩の役に立ちたい」と考えるようだ。
　選考は、オリターを経験した学生が行い、サークル勧誘など本来の目的とは異なる動機で応募した学生を排除している。選ばれたオリターは、学生自治会とオリター団執行部が２〜３月に開く「オリター研修学校」などに参加し、知識とスキルを身に付ける。