シラバスと授業評価のＷＧに比べて、新授業提案ＷＧの動きは鈍かった。毎年ＷＧで新しい授業についての企画が固まる秋頃には、すでに次年度の授業編成は終わっている。学生が検討するのは教養科目の授業で、提案が通っても開設されるのは２年後。提案した学生は３年生になり、その授業を受けられなくなってしまう。
　しかし、担当する教員のめどが先についていれば、秋以降の提案でも次年度から開設できる。そこで、教員を巻き込む方法が模索され、03年度後期の新授業「癒しの公園計画」につながった。公園や緑化事業に関心の高い英語の教員に持ちかけたところ、実際の公園づくりというアイデアは実現しなかったが、提案のいくつかを組み込んだ授業を始めることができた。
　04年度後期からは、橋本教授の『大学授業改善論』もスタートした。自分が履修している教養科目の授業の改善に向け、担当教員に改善策を提案、インタビューの結果をレポートにまとめるという内容だ。「授業を改善するということを授業にできないかという、ＷＧの学生の提案が実ったもの。私自身も、学生が授業改善を考えるいいきっかけになるのではないかと考えた」と橋本教授。学生からの人気が高く、05年度も引き続き開講されている。
　これまでは、ある程度授業の企画を固めた段階で教員にアプローチし、教員と相談しながら具体的な内容を詰めるという方法をとっていた。しかし、お互いの妥協点を探っていくという方法では、どうしても目的が曖昧になりがちだったという。そこで、学内で新しい授業のアイデアを競うコンテストを行い、学生の投票によって決めるという方式に変えた。04年６月にコンテストを実施し、ドラえもんを科学的に分析する「ドラえもんの科学」が最優秀賞に選ばれた。06年度からこのテーマで授業を行う方向で詳細を詰めているが、担当教員はまだ決まっていない。
　このほか、他大学との交流を通して、学生による授業改善の取り組みを広めようという学生交流ＷＧや、医歯学部の３年次以上が通う鹿田キャンパスでの授業改善を目指す鹿田ＷＧなど、活動の裾野は広がりつつある。