オープンキャンパスを学生主体で企画する狙いについて、萩本氏は「大学のことを分かってもらうには、在学生の姿を見てもらうのが一番だから」と説明する。「本当はここが第一志望ではなかったけれど、入ってみたら仲間が大勢できて充実した学生生活を送っている、という学生も結構いる。そんな学生が『この大学が大好き』『受験生にもぜひ勧めたい』とスタッフになり、張り切って飛び回ってくれる。その熱意には、教職員が企画する広報の何倍もの訴求力がある」。
　模擬授業と入試相談コーナーを別にすれば、オープンキャンパスで教職員が表に出る場面はほとんどなく、特に説明しなくても、来場者は学生が主役だと分かる。新入生へのアンケートでは、「オープンキャンパスに来て、受験を決めた。自分も運営に参加してみたい」という声も出るという。新入生ガイダンスでモニター制度について説明すると、確実に一定の人数は集まるという循環ができている。
　モニター制度は７年ほど前にできた。当初は、大学案内のリニューアルに向け、意見を聞くことが狙いだった。その後、入試監督の補助、大学祭での入試相談の対応、大学HPの在学生ページの編集など依頼内容を拡大。一部は図書券を謝礼とするため、バイト感覚で登録する学生も多いようだ。
　学生の潜在的な能力をもっと引き出そうと、運営を任せた初回のオープンキャンパスでは、外部の講師を招いて事前研修を実施。挨拶の仕方などイベントスタッフとしてのノウハウを習得させた。 　学生の力を信頼して見守り、結果として自信を持たせる。大学も大きな成果を得る。そんな仕組みをつくることができたのは、「モニター制度立ち上げを主導した、当時のキーパーソン的な職員の存在が大きい」と、萩本氏。枠組みをつくって軌道に乗せていく過程では、やはり職員の負担が大きかったようだ。「今ではシステムが出来上がり、安心して学生に任せられる」。
　04年度に共学化したが、男子モニターはまだ少数。しかし、徐々に存在感を増しつつあるという。「志願者に男子が増えてくるので、オープンキャンパスでも男子学生の発想を入れ、もっと充実させてもらわなくては」と、萩本氏は期待している。