内定者が就職活動について助言
名古屋大学

　業界セミナー、社会人との懇談会などは、大学の基本的な就職支援活動だ。名古屋大学でも就職支援室が中心となって各種企画を実施し、学生相談総合センターが個別の相談に応じている。その取り組みは、学生サークル「Ｏｎｎ」の積極的な側面支援を受け、より充実したものになっている。
　Ｏｎｎは就職活動の支援を目的とする大学公認の団体で、発足は2001年の春。学生相談総合センターの就職相談員の船津静代氏によれば、内定を得た２人の学生が、「就職活動を通じて学んだことを、後輩のために役立てたい」と、相談を持ちかけてきたことがきっかけだったという。船津氏に「とにかくやってみなさい」と励まされ、就職活動で知り合った社会人を大学に招き、講演やグループディスカッションを企画、多くの学生を集めた。
　その成功が原動力となって、Ｏｎｎが立ち上がった。メンバーの大部分は内定が出た４年生で、活動に関心を持つ３年生も加わり、毎年約30人で構成する。支援の対象は、３年生と就職活動中の４年生。内定学生との懇談会、就職活動の擬似体験などのイベントを開催する。メンバーが会社訪問や面接で経験したことを下級生に伝え、自信を持って就職活動を進めてもらうことが狙いだ。
　例えば、「まるごと就活初体験」では、内定学生による模擬面接や模擬グループディスカッション、参加者が内定学生の面接官になる逆面接などをする。「業界セミナー」では、内定先の人事担当者を招き、若い世代への期待などを語ってもらう。
　「就職活動の支援という形で企業が大学と接触することには制約もあるが、学生の招待ということであれば企業の協力が得やすい。就職支援室が主催するセミナーの運営を担当してもらうなど、Ｏｎｎはとても頼りになる存在」と、船津氏からの信頼は厚い。
　大学側もＯｎｎを支援する。イベントの内容によっては、大学のＨＰで告知するほか、チラシの作成などに支援室のスペースや機材を提供する。企画内容やセミナーの講師の人選についての相談のほか、社会人を招く際の接客に関わるマナー講習なども、支援室とセンターのスタッフが引き受ける。