志願者の増減を地区別に分類したのが（図表２）である。

●北海道地区
　一般的に国立大学志向の強い地区と言われるが、05年度入試では国立大学の志願者は大幅に減少した。とりわけ北海道教育大学は18.4％も減少した。志願者が増えたのは旭川医科大学と帯広畜産大学だけだった。
　逆に公立大学は志願者指数108.1だった。札幌医科大学で22.8％、公立はこだて未来大学で13.4％増えた。

●東北地区
　国立大学の志願者指数は95.5で、4.5％減少した。東北大学では1009人減り、10.3％の減少。とりわけ法、理、工の３学部での減少が目立つ。福島大学は05年度、教育、経済、行政社会の３学部を理工学群と人文社会学群に改組した。この改革が地元で注目を集めたが、04年度入試の志願者数にはわずかに及ばなかった。この地区では唯一、山形大学で増えた。
　公立大学は、青森公立大学、秋田県立大学、会津大学、福島県立医科大学で志願者が大きく減った。センター試験５教科７科目化などで、地元受験生に敬遠されたと考えられる。

●関東・甲信越地区
　国立大学の志願者減少率が大きい。増加したのは、宇都宮大学、長岡技術科学大学、上越教育大学、山梨大学の４校のみ。群馬大学、埼玉大学、千葉大学、新潟大学、信州大学では、10％前後減った。
　この地区では、公立大学の新設や改組が相次いだ。山梨では、県立看護大学と県立女子短大の合併で山梨県立大学が新設された。群馬では、県立県民健康科学大学の新設に加え、県立女子大学に国際コミュニケーション学部ができた。山梨県立大学に1618人、群馬県民健康科学大学に286人、群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部に421人の志願者が集まった。
　志願者減が最も顕著だったのが横浜市立大学。横浜市立大学は、医学部以外の３学部を国際総合科学部に統合、後期日程を廃止して前期日程１本にするなど入試も見直した。受験生には「チャンスが少なくなった」と受け止められたのか、志願者は2203人減り、ほぼ半減した。

●東京地区
　国立大学の志願者指数は94.0で、全国平均とほぼ同じだった。志願者数が極端に落ち込んだのは東京外国語大学。832人減り、減少率は20.9％となる。
　志願者が増えたのは、一橋大学、お茶の水女子大学、東京海洋大学。東京大学は467人、3.2％の減少となった。04年度に募集人員が減り難化を嫌って志願者が大きく減った文I前期は、反動で206人増えた。文�Uは後期に志願者が集まり、前後期合わせて106人増加。理Iも171人増加した。一方、文IIIは前年度の増加の反動で449人減少した。
　東京地区の国立大学には全国から志願者が集まるが、都内の受験生はむしろ私立大学に目が向いているようだ。これは、有名私立大学でも入試難易度が下がり、チャレンジしやすくなったことに加え、国公立大学のセンター試験5教科7科目化を嫌った受験生が私立大学に流れたためと思われる。ただ、受験生一人あたりの併願校数が減っているので、東京地区の私立大学の志願者も3.7％減少した。
　センター試験導入方式を採用する都内の私立大学が増え、都内の高校のセンター試験現役志願率は、03年度40.0％、04年度40.1％、05年度40.5％と年々上昇している。
　公立大学は、都立の３大学（都立大学、都立科学技術大学、都立保健科学大学）と都立短大が合併して首都大学東京ができ、都市環境、都市教養、システムデザイン、健康福祉の４学部に再編された。当初は受験生への浸透が進まず、模試では人気が低迷した。結果的には、志願者数は04年度の総数より450人程度増えた。しかし大学側はもっと志願者が集まることを期待していたのではないだろうか。