法務省の司法試験委員会が１月に開いたヒアリングでは、三つの法科大学院の教員が、新試験の合格者枠を大きくするよう訴えた。上谷清委員長は、各大学院が厳格な修了認定をすれば、合格率は７、８割になるはずだと主張した。
　これには、法科大学院側に立って法務省に対峙する立場の文科省の担当者も一定の理解を示す。「プロセス重視の教育には、適性のない学生を途中でふるい落とすことも含まれる。法科大学院では質の高い教育をし、能力のある者だけを卒業させていると社会が認めれば、『司法試験の合格者をもっと増やしてやったらいいじゃないか』という世論が生まれるはずだ」。
　一方で、法科大学院側からは「文科省は、認可申請内容の履行調査にとどまらず、より踏み込んで実態を知った上で、新司法試験の合格率について法務省と議論してほしい。法務省は教員を派遣している立場なので、情報収集で先を行っているのでは」との指摘が出ている。
　いずれにしても、「３年コースで学んだ法学未修者が新司法試験を受ける07年度の結果によって、撤退や定員削減を考えざるをえない大学が出てくるだろう」との見方は、関係者の間で一致している。