特別企画 高校生は「働くこと」をどう考えているか

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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ベネッセ教育研究開発センターの調査から

高校生は「働くこと」をどう考えているか
フリーター容認は少数「好きなことで正社員に」

ニートやフリーターが増加する中、大学では低学年からのキャリア教育の必要性が高まっている。高等教育の一歩手前にいる高校生は、働くことに対してどんな考え方を持っているのだろうか。ベネッセ教育研究開発センターの調査結果の一部を紹介する。

●調査の概要
埼玉県の公立高校2校の1〜3年生1926人(男子1033人、女子883人、不明10人)を対象に実施したアンケート結果を、東京成徳大学子ども学部の深谷昌志学部長など7人の研究者が分析。調査対象校は学区の中〜上位校で、進学を希望している生徒が多い。調査結果の全体は、ベネッセ教育研究開発センター2005年発行のモノグラフ・高校生VOL.73「高校生にとっての『働くこと』」に掲載されている。

成績よりも「やりたい仕事」

 調査ではまず、進路選択の際に重視することを聞いた。八つの項目について、それぞれ「とても重視する」「やや重視する」「あまり重視しない」「まったく重視しない」の4段階で回答を求めた。このうち、「現在の学校の成績」「仕事としてやってみたいこと」「将来どういう生活を送りたいかということ」の3項目について、「重視する」と回答した3年生の割合を(図表1)に示す。

図表

 全体的な傾向として、学校の成績よりは、仕事としてやってみたいことや将来の生活の方が、進路選択に大きな影響を与えていることがわかる。学校の成績を重視する傾向は、3年生よりも1、2年生で強い。特に男子は、学校の成績を「とても重視する」とした生徒の割合が、1年生で37.7%、2年生で33.1%と減少し、3年生では20.5%と5人に1人程度になっている。これについて東京大学の西島央助手は、「かつては成績に応じて進路を決める傾向があり問題視されたが、今は学年が上がるにつれて、成績よりも、やってみたい仕事や将来どういう生活を送りたいかを考えながら、進路を選ぶようになってきたようだ」と分析している。
 ほかの項目では、各学年を通じ「自分の趣味や興味のあること」を重視する傾向が見られた(「とても」54.9%、「やや」34.5%)。仕事の内容や将来の生活という現実的な要素に加え、自分の嗜好や関心も、進路選択の判断材料となっていることがうかがわれる。なお「将来お金をどれくらい稼げるかということ」については、「とても」20.8%、「やや」47.5%と、ほかと比べて重視する度合いが低かった。


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