北川　まずは、教職員の意識改革です。地域連携は大学の果たすべき責任だということを、教職員がしっかり認識することが大切です。意識改革が進まない大学は、生き残りが難しくなるでしょう。
　こんな話があります。「偉大な政治家が国を変えたいと思った。でも、できなかった。地域を変えようと思った。でも、できなかった。組織も家族も同様に変えられなかった。しかし、自分が変わったらすべて変わった」。まず大学自身が変わろうとしなければ、取り巻く状況も悪くなっていくだけです。ピンチはチャンスなのですから、本気になって取り組めば生き残ることができるはずです。

北川　徹底的に情報公開をすべきです。この点では、大学はかなり遅れています。あらゆる情報をオープンにして、学生と地域の人たちの評価を受ける必要があります。新設大学・学部も、できたことによって、地域のどんな点が良くなったのか、どんな問題が生じたかということを、公開してほしい。社会の目に晒されることで、教職員の意識が変わっていくのではないでしょうか。

北川　以前と比べれば進んできたのは確かです。しかし、例えば自動車会社が、自社の製品の細かい情報まで公開するようなことを、大学がしているでしょうか。民間企業に比べると、かなり遅れているはずです。
　情報公開は、大学経営にも直接関わる問題です。18歳人口の減少に伴い、大学は社会人に対応した教育にある程度シフトせざるを得ません。社会人の教育市場では、付加価値の高いところへどんどん人が移動します。しかし、いくら付加価値の高い教育をしていても、その内容がきちんと公開されていなければ、学生を集めることはできません。情報発信力こそが勝負を決めるのです。

北川　今後の大学は、地域と切り離して存続することは不可能です。大学と地域が共にメリットを感じるような「Ｗｉｎ Ｗｉｎ＝共に勝つ」の関係となるためには、ギブ・アンド・テイクの精神で双方が努力することが最も重要です。