特集 「地域」という教科書

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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教育や研究と同じように

―法人化後の国立大学は、ほぼ例外なく地域連携を目標として掲げています。

橋本 特に地方の大学は、地域との結びつきをベースに、そこから得られる成果を大学の活性化に結び付ける、あるいは教育研究に生かすといった視点がなければ、生き残れないと考えるところが多いと思います。
 国立大学のほとんどが法人化の際に地域連携をうたったのも、そうした意識を反映したものといえます。21世紀の日本の大学は、極めて少数の例外を除き、教育も研究も地域と連携して進めざるを得ないのです。

―地域との連携をうまく進めるためのポイントは何でしょうか。

橋本 教育や研究と並ぶ大学の基本的な機能として地域連携を位置付け、組織を挙げて取り組むことです。地域との連携による教育は、これまでも数多く行われてきました。本学でも、文学部の文化人類学教室が県内の農村で泊まりがけの実地調査をするなど、様々な取り組みをしてきました。しかし、授業の一環として関わるだけでは、地域に対して十分なメリットをもたらすことは難しいでしょう。
 授業での必要性に応じて取り組むのと、大学の基本的な機能の一つとして取り組むのとでは、教員の意識や責任の重さが違ってきます。地域社会での明確な成果が期待されるため、その内容や学生の指導により一層工夫を凝らすようになります。地域としても、大学が本腰を入れているという受け止め方をして、結び付きがより強固になります。


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