わが国の大学教員の流動性は、市場全体でも各機関内でも低く、教員個人の生涯での移動回数も少ない。そのため、国際的に見た教育研究の生産性が高くないといわれる。
本稿では、流動化を促すため1997年に制度化された任期制の効果について、筆者らが行ってきた調査を通して解明されたことを紹介する。その上で、教員組織に関する今回の制度改正と絡め、教員の流動性について多角的な視点から検討する。併せて、そもそも流動性とは何か、任期制との関係の中でこれを規定する要因について鳥瞰的に言及し、教員組織における効果的な改革の方策を模索してみたい。
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