特集 ―学校教育法改正を入り口に―教員組織をどう活性化するか

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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国際的にみても教授比率と流動性は逆相関

 今後、流動性を一層高めるためには、任期制を人事制度の中で再検討すると同時に、人事政策の見直しが不可避である。最も効果的で過激な手段は、教授ポストを先進国並みに大幅に削減することだろう。すでに始まっている市場原理への移行は、この点も視野に入れねばなるまい。
 これまで、終身雇用制度の下でほとんどの人が教授になれたのは、全職階に対する教授ポストの割合が、先進国の中で最も高い54.3%に上るからだ。これは先述のカーネギー調査に基づくデータで、14カ国の平均は32.6%だった。最低は香港の8.3%で、スウェーデン15.7%、イギリス19.1%、韓国36.1%、アメリカ38.8%、ドイツ48.8%などとなっている。国ごとにサンプル抽出方法に違いがあるため多少バイアスがかかっているが、貴重なデータである。
 職階比率と流動性の関係を見ると、教授ポストの割合が少ないほど流動性が高くなっている。流動性の変動要因としての職階比率は、市場成長率や非常勤比率、テニュア比率などと比べて最も大きなマイナス0.49の逆相関を示している。
 講座制がアメリカモデルのデパートメント制に移行すれば、准教授でもディシプリンの代表になることができ、教授比率を下げることにつながる。それによって教授の地位と評価が高まり、厳しい選抜を通して教育研究の活性化が促進される。市場化という厳しい環境下では、すべての大学教員が教授のポストに到達することは、不可能な時代に突入する。
 若手の職階と同様、教授層においても、専任教授、特任教授、エンダウメント教授(寄付講座等の担当に任命される教授)、ユニバーシティ・プロフェッサーズ(その大学を代表する特別職の教授)など、階層化への圧力は避けられない。国立大学法人化による非公務員型への移行は、そのような可能性を示唆している。いくつかの大学ではすでに、学内で教授層の役割と地位を分化させている。


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