特集 ―学校教育法改正を入り口に―教員組織をどう活性化するか

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「講座制の否定ではなく利点を生かして運用」

 講座横断型のカリキュラムの必要性が認識されたのは、若手教員が参加する「医学教育ワークシップ」がきっかけだった。85年度からスタートし、カリキュラム編成を中心的なテーマに年2回開催している。
 80年代半ば、日本大学医学部では、医師国家試験の合格率低迷という問題を抱え、教員の意識改革やカリキュラムの改善によって教育の充実を図ろうという機運が高まっていた。
 ワークショップでの成果を踏まえ、新しいカリキュラムに移行する中、93年には126人の卒業生のうち125人が国家試験に合格。改革の成果を確認できたことで、さらなる促進につながった。
 横断型のカリキュラムで成果を上げたが、今のところ医局講座制自体を廃止することは考えていないという。堀江学部長は医局講座制について、「トップに立つ人間の資質に左右されやすいという面はあるが、豊富な経験に基づく若手への教育・指導など、良き臨床医の養成という点で大きなメリットがある。本学のように、業務の一部を若手教員が担う仕組みを導入することで権限の集中を防ぎ、講座制の良さを生かしながら運用する方法もある」と考えている。
 04年度からは、固定的講座定員(基本的に5人)のほかに、付属病院の状況に応じて変動させることができる「臨床定員」を診療科ごとに設けた。これによって、都心部の病院で余っている産婦人科医を郊外の病院に振り向けるなど、機動的な医師の配置が可能になった。
 各病院の状況に合わせて医師を柔軟に配置するシステムによって、病院機能の強化を図ると同時に、経営面での効率化も期待できるという。臨床定員は、外来や入院患者の状況など、複数の指標を参考にして2年ごとに見直す。


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