特集 ―学校教育法改正を入り口に―教員組織をどう活性化するか

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「研究での一人立ちを支援してくれる制度」

 05年度、9人がリサーチ・ファカルティー制度に応募し、5人(助教授2人、講師1人、助手2人)が採用された。その中の1人、前田佳伸講師は、「講師と研究准教授という肩書では、対外的なステータスが違う。外部との共同研究などを活発にするためにも、新しい称号の持つ意味は大きい」と話す。
 「結果が出るかどうか分からない研究の場合、実験装置の購入依頼をためらうこともあった。今は予算権限が自分にあるのでチャレンジングな研究ができる」と言うのは、早川聡一郎助手。原進助手は、「これからの研究者には、自分の研究によって研究費を獲得し続ける能力が不可欠。この制度は、研究者として一人立ちするのを支援してくれるもの」と評価する。
 リサーチ・ファカルティー制度での研究期間は、原則として3年間。年1回評価を受ける義務があり、その結果によっては打ち切られる可能性もある。延長は原則として認められず、プロジェクト終了後は称号を返還し、元の職位での教育・研究活動に戻る。目覚しい成果を上げた場合の処遇については、「明示はしないが、その人をエンカレッジする手立てはいろいろ考えられる」(生嶋学長)という。
 豊田工業大学は、「先端ハイブリッド工学構想」を策定し、教育・研究組織を大幅に組み替える計画がある。カリキュラムや人事の改革がすでに始まっていて、同制度もこの構想と連動している。
 豊田工業大学では、今後10年以内に大半の教授が定年退職を迎える。「今後を担う若手教員にしっかり力をつけてもらうことが重要」(生嶋学長)。リサーチ・ファカルティーには、構想における研究ユニットの中心的役割を担い、新しい学問分野を創出することが期待されている。


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