１学科に統合する国立大学も

　受験生が殺到する「農学部ブーム」はこれまでに２度あり、いずれも改組が集中した時期と重なる。
　第１次農学部ブームは、受験生が増加傾向にあった86年から90年にかけてであった。バイオテクノロジーが注目され始めたことが追い風となった。農学科や農芸化学科、農業工学科、農業経済学科といった学科構成を見直し、生物生産学科、生物資源学科など、「生物」を冠する学科を設置する大学が目立った。
　94年から96年にかけて第２次ブームが起こった。この時期は、生命科学や環境問題、都市政策など、農学の研究領域がさらに拡大。農学部のイメージが大きく変わり、女子の志願者が飛躍的に増加した。この時期の改組は、「生命」や「環境」に関わる教育を前面に打ち出し、これらを学科名とするケースが多かった。
　農学部の改組は国立大学で先行した。多くの大学は学科名の変更だけで複数の学科を維持したが、岡山大学や九州大学のように、１学科だけにして、その中に専攻やコースを設けた大学もある。06年度には香川大学も、生物生産学科、生物資源食糧化学科、生命機能科学科を応用生物科学科に統合し、新たに応用生命科学コース、生物生産科学コース、生物資源環境化学コース、食品科学コースの４コースを設置する予定だ。
　私立大学の農学部改革が本格化したのは90年代後半で、その契機となったのが、98年度の東京農業大学の大幅な学部改組だ。