英語教育の見直しが教養教育改革の柱になった点は、立教大学も例外ではない。教員ごとにバラバラだったテキストや授業内容を改め、統一カリキュラムを確立して学習者中心の英語教育に変えた。履修希望者が多い中国語やスペイン語の専任教員を増やすことができたのも、全カリの成果といえる。
　全カリのうち、英語などの言語教育科目以外は、総合教育科目と呼ぶ。核となる自然、人文、社会の３分野を総合Ａ群と総合Ｂ群に分けている。
　Ａ群は、「思想・文化」「環境・人間」など六つの問題領域を設定して科目を編成。01年度からは、「立教（Ｒ）科目」「時事（Ｔ）科目」という科目群を設けている。前者は、建学の精神や大学の役割・特色と関連づけて、「人権」「宗教」「大学」「都市」の４テーマで企画されている。05年度は、「立教大学の歴史」「外国文学とキリスト教」など32科目を開設。Ｔ科目は、少年法やゆとり教育など社会問題と関連した内容だ。
　Ｂ群は、学際的なテーマを複数の教員が担当する。「『捕鯨』を通じてみる世界」という科目は、文学部の教授がコーディネーターになり、各分野の教員と共同で担当。オムニバス方式ではなく、教員同士の討論などで複眼的な視点で展開する点が特色だ。学部だけでなく研究所や事務部門もテーマを提案できる画期的なシステムである。キャリアセンターの提案でできた「仕事と人生」は、コミュニティ福祉学部と経済学部の教員がコーディネーターを務め、外資系企業の人事課長、県立高校の野球部監督、立教学院の理事長、同センター職員などが講師を務める。
　運営センターの運営委員会の下には、総合教育科目を担う小委員会と言語教育を担う小委員会が置かれ、その下の研究室単位でＦＤに取り組む。