新学部のカリキュラムは現在検討中だが、アウトラインはほぼ固まっている。
　まず、文系・理系という枠組みは設けない。アメリカのカレッジの多くは「Arts & Science」と称する文理学部で、本学の新学部もそれをイメージしている。従来の一般教養のように、人文・社会・自然科学の各領域で網羅的なメニューを示し、選ばせる方式にはしない。自分を相対化するために必ず必要な歴史、宗教、哲学、文化などの科目をコアに位置付ける。ＩＴ教育では、スキルより、それが人間社会に何をもたらすかという本質的な価値を教える内容になるだろう。
　グローバルに活躍できる人材を目指す以上、国際的なコミュニケーション能力の育成は欠かせない。授業はもちろん、キャンパスライフはすべて英語を基本にする。掲示物をはじめ、学生サービスの窓口での手続きでも英語を使う。そのため、事務職員は英語の堪能な人材を集める。
　教員の６割以上は外国人を採用したいと考えている。終身雇用にすると教員組織がサロン化し、教育を活性化できないという問題が生じる。だから、プログラム策定に関わるコアの教員以外は任期制にする予定だ。
　１年間の海外留学も導入する。全員必修か選抜制にするかはまだ決まっていないが、なるべく多く派遣できる制度を考えたい。
　卒業後は、グローバルビジネスを展開している企業や国際機関への就職、海外の大学を含む大学院への進学などを想定している。日本企業はこれまで製造拠点としての海外進出が多く、ブルーカラーとのコミュニケーションができる人材で間に合っていた。今後は、現地のホワイトカラーとの折衝能力が求められる。そこでは、「つまらないビジネスマン」と言われないような深い教養が不可欠だ。
　本学の「グローバルスタディーズ学部」はまだ仮称だが、このようなコンセプトの大学や学部が増えつつあるということは、日本の大学が、世界に通用する人材の育成を意識しだしたことの表れだといえるだろう（談）。