新カリキュラムでは、基本的な知識を確実に修得させるため、教員間の連携を強化した。以前は、同じ科目でも教員によって教える内容が異なることがあった。改組と同時に、「基礎演習」「マクロ経済学」「ミクロ経済学」など五つの科目で担当教員が部会を結成。必要に応じて週１回〜月１回程度集まり、標準的なテキストの決定や、何をどこまで教えるかの確認、テストの共通化、成績評価の標準化などを行った。
　中村教授は「ＦＤを声高に叫んだわけではないが、教育内容に関するシステマティックな議論の場ができたことで、結果的に教員間の風通しがよくなり、活性化につながった」と語る。
　新カリキュラムになって５年が経過した。就職率が上昇する、入学者の偏差値が上がる、といった目に見える変化はまだない。ただし、「教員の意識が大きく変わってきたのは確かだし、学習に取り組む積極的な姿勢も目立つようになってきた」と言う。
　課題もある。１年次の「基礎演習」では、現在は、効果的なノートの取り方、科目の選択方法など、４年間の効果的な学習の進め方を教えることが中心になっている。これを、経済学の基礎部分を補完する導入学習的な内容にすべきではないかとの議論が出ている。
　さらに、幅広い科目選択を可能にするために設置されている専門自由科目については、学生のニーズに合わせて科目の入れ替えを進めるべきではないか、との意見もあるという。卒業研究についても、論文以外で教育効果を高め、社会人として役に立つ様々な能力を身に付けさせる方法が模索されている。