世界で活躍するには、英語によるコミュニケーション力が必要だ。グローバルエンジニアリング学部では、ネイティブスピーカーによる英語科目「ＣＳＧＥ (Communication Skills for Global Engineers)」を設置。１〜３年次は週３コマ、４年次は週２コマ開講し、最大22単位分の英語教育を行う。他の多くの科目でも教科書や板書、試験などで英語を使う。
　国際感覚を磨くため、ＣＳＧＥのほか「世界の歴史認識」「国際化と異文化理解」「国際企業論」などの講義科目や、海外留学を伴う科目「ＥＣＰ abroad」「ＣＳＧＥ abroad」を設ける。ＭＯＴや経済学、環境・エネルギー関連の科目、最近特に注目されている技術者倫理に関する科目なども、開設する。
　これらのカリキュラムは、グローバルエンジニアに必要な条件を最低限満たすように組み立てられている。「だからといって、卒業後すぐに一人前のグローバルエンジニアになれるとは思っていない。しかし、ＥＣＰやＣＳＧＥなどのプログラムによって、学生は必要なことを自ら学ぶ能力を身に付けている。これこそが本学部が打ち出している『人間力』であり、グローバルエンジニアとして活躍するための最も大切な基盤といえる」（古屋学部長）。
　ＥＣＰは03年度の特色ＧＰに、ＣＳＧＥは04年度の現代ＧＰに採択されるなど、同学部の「人間力」教育の中心的プログラムに対する評価は高い。国際基礎工学科の教育プログラムはＪＡＢＥＥ（日本技術者教育認定機構）の認定も受けていて、グローバルエンジニア育成は、工学教育の新しい方向性を示すものといえる。
　工学院大学では06年度に工学部を全面的に改組し、３学部体制とする（図表２）。同時に、ＥＣＰに代表されるＰＢＬ（Project Based Learning）の考え方を全学で共有する。三浦学長は「現実の問題に対処していく課題解決型のＰＢＬ（ＥＣＰ）は、今後の工学教育の主流となるだろう」と語る。