特集 全入時代シフトで成功させる大学ブランディング

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 1/49  次ページ

特集

全入時代シフトで成功させる大学ブランディング

コミュニケーション戦略の新たな段階へ

全入時代の足音と共鳴するかのように、「大学ブランド」をめぐる話題が日々メディアに登場している。個性と存在感を打ち出すための研究成果の商品化、ロゴ、シンボルマーク、グッズは、確かなメッセージを伝えきれているだろうか。ブランディングをコミュニケーション戦略という点から捉えた時、「成功の条件」として何が見えてくるのか。ブランディングの様々な段階に立つ大学のケースを通して考えてみたい。

【事例分析】

「ステークホルダー」と「独自の価値」
立命館大学とグロービスの成功が示す2つのキーワード

立命館大学とグロービス・マネジメント・スクールは、近年、それぞれの市場における評価を目覚しく向上させた。そのプロセスと理念を重ねながら見ていくと、2つのキーワードが浮かび上がる。

伝統的な総合大学と民間スクールのケースにブランド力向上の鍵を探る

 この10年で、急速にブランド力を向上させた大学の一つとして立命館大学を挙げる教育関係者は、少なくないだろう。関西の伝統校というポジションから大きく踏み出し、今や日本で2番目に多い志願者を集める全国区の大学となった。受験関係のメディアだけではなく、ビジネス誌などが企画する各種大学ランキングでも上位常連となっている。
 一方、グロービス・マネジメント・スクールは、ベンチャー企業の(株)グロービスが1992年に東京で設立。翌年には大阪校、2003年には名古屋校を開校し、スタート時に20人だった受講生は、3校と通信教育を合わせ延べ1万1000人(2005年度)にまで増えた。ビジネスパーソンの市場では、著名な大学のビジネススクールと競合するほどのステータスを確立。2006年度には、グロービス・グループが構造改革特区制度を利用して専門職大学院を設立している。
 片や伝統的な総合大学、片や株式会社設立のスクールだが、いずれも高等教育界において10年前とはまったく異なるポジションを占めるに至っている。全入時代に向けた大学ブランディングのキーワードを探るべく、立命館大学とグロービス・グループに取材した。


  PAGE 1/49  次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ