特集 全入時代シフトで成功させる大学ブランディング

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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立命館大学

ステークホルダーとの関係を強化し
大学のメッセージを浸透させる

一つひとつの改革がステークホルダーとのコミュニケーションに

 立命館大学は、1980年代以降、様々な改革を進めてきた。多面的な入試改革をはじめ、文理総合インスティテュートの開設、リエゾンオフィスを軸とした産学官連携の推進、インターンシップオフィスの設置など枚挙にいとまがない(図1)。現在ではスタンダードともいえる取り組みの多くが、立命館発の改革であったことが分かる。「改革の立命館」と呼ばれるゆえんだ。

図表

 改革の一つひとつを見ていくと、各ステークホルダーとの関係を見直し、コミュニケーションに努め、大切にするという基本姿勢がうかがえる。入試改革は受験生のニーズを反映させたものであり、リエゾンオフィスの設置は、大学のシーズを幅広く社会に還元する取り組みだ。
 受験人口減少期に入ってから、大学は受験生への働きかけを強める一方で、卒業生や保護者への関心は依然として薄く、企業・地域とも距離を置いてきた。その中で立命館大学は、受験生はもちろん、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを図り、幅広い層からの共感を得ることで、改革のメッセージを浸透させていった。
 今では、毎年10万人前後の志願者を集め、様々な大学ランキングで常に上位に名を連ねるようになった。受験生から企業・地域までの幅広い支持を得ている背景には、薬師寺公夫副学長が強調する「ステークホルダーの存在が私学の発展を支える」という理念がある。
 「自分たちの強み、弱みを分析して、伸ばすべきは伸ばし改めるべきは改める。そういった不断の努力なしにはブランドは育たない。ステークホルダーの意見から新しいアイデアを得て、そこからさらに新たな展開が可能になる。それが私学の発展の基盤であり、まさに本学の歴史そのものでもある」。
 ステークホルダーとの密接な関係抜きにして、今日の「立命館ブランド」はなかったのである。同大学がどのようにステークホルダーとの関係を深めてきたのかを見ていく。


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