特集 全入時代シフトで成功させる大学ブランディング

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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理系学部設置、共学化などの改革の中でブランド力向上を目指す

 武蔵野大学のブランド構築計画が始まったのは、2002年11月のことだ。その背景には、大学改革の著しい進展があった。文系の女子大学として80年余りの伝統と歴史があった同大学は、校名の変更、初の理系学部の設置、男女共学化など様々な改革を打ち出し、総合大学へと大きく変貌しようとしていた。
 一方で、志願者数の減少という深刻な課題があった。2002年度入試では、総募集人員約1000人に対して志願者数は約4000人と低迷。教育の質を保つためにも、志願者数を増やすことは喫緊の課題となっていた。
 こうした状況の中、武蔵野大学は新たな大学像を創造し、学内外に示していく必要があったのだ。
 そこで2003年1月、若手教職員13人による「ブランド構築プロジェクト」を発足させ、大学の教育理念や教育資産をあらためて見直し、ブランド構築の方向性を模索した。その結果、「目覚め」「つながり」「ひろがり」を表すブランドマークと、「Linking Thinking」というステートメントが打ち出され、以後、広報のあらゆる場面で使用されるようになった。
 こうして、ブランド構築という所期の目標は達成されたが、そこまでのプロセスで「さらに踏み込んだブランディングが必要ではないか」という声が聞かれるようになったという。
 企画部総合計画室の和賀信之係長は「いくら理念に基づいたロゴやスローガンを作っても、それが実際の教育活動や業務に反映されなければ、しょせん実体のない張りぼてにすぎない。また、当時、数々の改革が功を奏し、入学志願者数が急激に上向いてきたこともあって、学内に楽観的なムードが生まれつつあった」と述べる。
 表面的なブランド意識や楽観主義に陥らず、大学の活力を維持するためには、次なるブランド展開が必要だったのである。
 こうした考えの下、2004年1月、「ブランド展開プロジェクト」がスタートした。

図表


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