特集 全入時代シフトで成功させる大学ブランディング

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 31/49 前ページ 次ページ

ブランディングによって分かりやすいメッセージを発信

 2005年度の試行期間を終え、武蔵野大学のブランド展開プロジェクトは、成果検証の段階に入った。当面は、数値目標の達成状況を測ることになるが、「目標が達成できたか否かも重要だが、何を行うべきだったのか、何が行われなかったのかを明確にしたい」と、和賀係長は述べる。大学のブランドが高校生や社会に浸透しているかを検証する必要もあるが、それは今後の課題だ。
 すでに実感されている成果として、ブランド展開の中で学内のコミュニティがより強固になったことを挙げる。和賀係長は「全学が一つの目標に向かって進むことで、教職員のコミュニケーションが円滑になった。今後は、これを大学の文化として定着させたい」と話す。
 構築から展開に至る一連のブランディングプロジェクトの中で、広報活動で発信すべきメッセージが明確になったことも指摘する。
 例えば、高校生を対象に開催した「キャリアリサーチセミナー」では、「目覚め、つながり、ひろがり」というブランドアイデンティティの中の「目覚め」の機会として、自己改革をテーマにシンポジウムを行った。それまで、シンポジウムのテーマはその時々で異なっていた。ブランドを構成する理念を反映させることで、どんな取り組みにおいても、大学のメッセージをより分かりやすく、明確に伝えられるようになったという。
 大学の表層的なイメージを訴えるのではなく、理念に基づいた教育となるよう中身を磨くことで、真のブランドの確立を目指している武蔵野大学。「学生が『自分が成長する可能性のある大学だ』と感じて本学を選び、武蔵野大生としての誇りを持って社会に飛び立っていく。それが、本学のブランドになればと思う」と和賀係長は語る。こうした思いこそが、大学におけるブランディングを成功に導く鍵なのかもしれない。


  PAGE 31/49 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ