特集 全入時代シフトで成功させる大学ブランディング

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 33/49 前ページ 次ページ

機能とデザインの統合をコンセプトに掲げ開発に取り組む

 千葉工業大学独自の価値を生み出すfuRoとは、いかなる機関なのか。その活動の柱は次の3つである。
(1)未来のロボットの研究開発
(2)産学連携によるロボットの新産業の立ち上げ
(3)ロボットのプロダクトデザインの追求
 研究成果であるmorph3は、全長380ミリメートル、体重2400グラムと小型ながら、14個のコンピュータモジュールと138個のセンサーを内蔵し、複雑な動きが可能だ。二足歩行はもちろん、立ったり座ったり、でんぐり返しやシャドーボクシングのような素早い動きも滑らかにこなす。
 ロボット技術を取り入れた未来のクルマ「ハルキゲニア01」も、fuRoが開発した。8つの車輪を持つクルマ型ロボットで、角度センサーと姿勢センサーが内蔵されている。平地を自動走行するだけでなく、段差や坂道にも対応して車体を常に水平に保ち、凹凸のある悪路を歩くように移動することもできる。
 「ロボット工学は、電気・電子、機械、情報などあらゆる学問の集合体。その意味で、ヒューマノイド・ロボットだけがロボットではなく、学問内容を包括したインテリジェンスな機械はすべてロボットといえる」と、fuRoの古田貴之所長。ロボットの用途はホビー用から家電製品まで様々だが、今後は医療、福祉、介護やセキュリティの分野で利用できるロボットも開発したいという。
 「機能とデザインの一体化」は、fuRoの重要なコンセプトの一つだ。「ロボティクスで重要なのは技術だけではない。デザインも、使いやすいか、量産に適しているか、製品のコンセプトに合っているかなど、ユーザーのライフスタイルを想定しながらトータルに考えなければいけない」と古田所長は述べる。morph3やハルキゲニア01のデザインは、著名なプロダクトデザイナーの山中俊治氏が企画段階から加わり、徹底的に機能美が追求された。morph3を小型化・軽量化できたのも、「ぜい肉を削ぎ落とした無駄のない機械」という開発コンセプトに基づいてデザインしたからだという。
 「機能とデザインの一体化」は、fuRoのオフィスでも具体化されている。白を基調としたガラス張りの明るいオフィス、パソコンの画面を投影できる液晶シャッター採用のガラス壁、壁際に配置された展示スペースなど、近未来的な雰囲気が、技術だけに偏らないfuRoの独創性を体現している。

写真

fuRoは、「存在」「生命」「本質」を意味するイタリア語の古い言葉に由来。白を基調とした研究室のミーティングルームは、fuRoのコンセプトを反映し、機能的でデザイン性のある部屋となっている

 


  PAGE 33/49 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ