特集 全入時代シフトで成功させる大学ブランディング

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「授業改善に生かせる学生のクレームは増える方が望ましい」

 クレームについて、「本来は、授業の現場で教員と学生が話し合いながら解決するのが望ましい」と田端副学長は言う。導入当初、学生と担当教員との直接の話し合いで解決できなかった事案に限り、クレーム・コミッティへの申請を受理するようにしたのもそのためだ(2005年度からは、直接話し合うことが適当でない内容や、学生が不利益を受ける可能性がある場合は、この限りではなくなった)。
 実際、成績評価について、担当教員が出席日数や試験結果など、客観的な数値を基に評価結果を説明すると、学生の多くは納得する。クレーム・コミッティに持ち込まれることはほとんどないという。「『いい加減に成績をつけている』と思うと、授業を真剣に受ける気もなくなる。そうではないことをきちんと示すことが、信頼関係を生む」と田端副学長は述べる。
 クレーム・コミッティの利用状況は、図2に示した通り。採点に関する質問は、初年度から2年目にかけて学部・大学院とも増加した。制度の認知度が高まり、成績評価についての疑義をただそうとする学生が増えている。

図表

 初年度は特定クラスでクレームが集中的に発生したが、受講生が多過ぎるといった内容に対しては、次年度から複数のクラスを設置するなど改善を図った。2005年度のクレームは学部・大学院合わせて13件だが、田端副学長は、学生には授業をもっと厳しい目で見てもらいたいと話す。「授業改善に生かすこともクレーム・コミッティ制度の役割。その意味では、もっとクレームが増えることが望ましい」。


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