進路選択の差異は、性別によるものだけではない。女子についてさらに詳細に分析すると、多様な選択パターンが見られ、地域による違いが顕著である。文部科学省「学校基本調査2005年度版」の高校生の卒業後の進路データを基に、都道府県別の女子の進路をおおまかに分類すると、４つの典型的なパターンが見られる（図２）。

●エリア（1）大学・短大優位県――大学・短大への進学率が全国平均より高い。関東・近畿の大都市圏を中心とした７都府県で、中でも東京は、全国で唯一、男子と女子の大学進学率の差が２ポイントにとどまる。
●エリア（2）大学・短大・就職競合県――大学・短大への進学率が高い一方、就職率も全国平均より高い。愛知・三重など中部圏を中心とした15県がある。
●エリア（3）短大・専門・各種学校優位県――短期高等教育機関への進学率の高さが目立つ。埼玉・千葉など関東甲信越を中心とした８県。
●エリア（4）専門・各種学校・就職優位県――エリア（1）とは対照的に、大学・短大への進学よりも専門学校への進学や就職が多い。東北・九州を中心とした17道県が含まれる。
　このような地域による多様性を見ると、女子の潜在的需要を知る上で注目すべき２つの点が浮かび上がる。一つは、地域によってどのような進学機会の制約（希望しても進学できない事情）があるのか、二つ目は進学需要そのものに、地域による質的な差異があるのか、という点だ。高校生調査からは、これらの疑問に対してどのような答えを見いだすことができるだろうか。