成績による進学状況について、女子の間での差異に注目すると、「進学機会を用意すればいい」といった単純な問題でもないことが分かってくる。

　図４は、中学３年生時の成績が「上の方」または「中の上」だった女子の、高校卒業時の進学状況を示したものである。同じ成績優秀者層であっても、エリア（4）とそれ以外の地域では、大学進学率に大きな差が出ている。こうした傾向は、保護者の年収が高い場合にもほとんど変わらなかった。
　地元進学機会の格差を差し引いたとしても、女子の進路選択行動に、経済状況や成績によらない何らかの要因があるとすれば、それを知ることが女子の進学需要を掘り起こすヒントになるだろう。
　この「何らかの要因」を考える上で示唆を与えてくれるのが、大学教育に対する期待の質的違いという視点である。卒業時に大学進学を決めた女子のうち、理由として「職業に必要な資格を取りたい」に「とてもあてはまる」「あてはまる」と答えた合計割合は、それぞれエリア（1）73.1％、（2）86.9％、（3）80.8％、（4）81.0％となっている。大都市圏以外の女子進学層で、職業志向が強いことがうかがえる。
　30歳代で就きたい職業についての質問でも、栄養士、看護師、臨床検査技師など、資格を必要とする職業を目指す女子の割合は、大都市圏を擁するエリア（1）で14.7％だったのに対し、エリア（2）、（3）、（4）では23.3〜25.7％と大きかった。こうした傾向が大学進学者でもそれ以外でも強いことを考えると、職業志向に応える形で大学の「出口」を明確にすれば、女子の進学を拡大させる余地は十分あるように思われる。