特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 26/37 前ページ 次ページ

全学組織的な運営で教授法を標準化

 「教養セミナー」のような科目は、教員によって教授法が異なると統一性が薄れ、全学必修科目としての位置付けが崩れる。そのため、長崎大学では全学で組織的に運営する。担当は、各学部の教員で構成される「教養セミナー委員会」だ。
 教養セミナー委員会はまず、学部ごとに教養セミナーを担当する教員数を割り当てる。基準は、学部の学生数と全学教育科目を担当していない教員数だ。割り当て数の決定後、各学部は担当教員を選出し、委員会で希望の曜日を確認して、担当クラスを決める。
 委員会は教養セミナーについて担当教員に説明するほか、委員会で作成した教員用の「教養セミナーガイドラインン」と学生用の「教養セミナーガイドブック」を配付する。ガイドラインには、科目目標や実施内容、教員の役割、評価の観点、学生・教員アンケートの結果、前年度の担当教員のコメント(成功・失敗したと思われる点)などが記載されており、担当教員はこれを参考にセミナーを進める。
 長崎大学ではFD活動も盛んだ。委員会で「科目開発型FD」を実施し、アンケートなどを基に改善点を話し合う。結果は、次年度の教養セミナーに反映される。ほかに、毎回テーマの違うFDワークショップや、新任教員用FDも実施している。高橋教授は、「導入当初は教員に意図がうまく伝わらず、混乱が見られたが、今では科目の意義や運営方針が浸透し、クラスが体系的に運営されている」と語る。
 2003年度に、教養セミナーが大きな比重を占める「特色ある初年次教育の実践と改善――教育マネジメントサイクルの構築」が特色GPに採択され、学内の意識向上につながった。


  PAGE 26/37 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ