2007年度に導入７年目を迎えた同大学の英語プログラムは、状況に応じて改善されてきた。クラス編成において、１・２年次で計３時限では授業時間数が少ないという反省から、2007年度からは１年次に授業を集中させて前期・後期とも、約25人の少人数クラス（２単位）と、約50人のクラス（１単位）の週２時限とした。
　クラス編成が変わっても、学生の活動中心型の授業であることは変わらない。スピーキング中心の少人数クラス「コミュニケーション英語Ａ」では、学生はまずその日のユニットの重要項目と重要表現を確認し、それが実際の生活場面でどのように使われているのか、会話のモデルを聞く。次に、ペアになり、モデルの会話を使ってロールプレイングをし、重要表現や重要語句を使う練習を行う。ほかにも、グループでのディスカッションや、クイズやゲーム感覚で英語を使う機会が用意されている。学生自身が考えたシナリオでミニドラマを演じる、スピーチやプレゼンテーションをする、といった内容の活動もあるという。
　中人数クラスでも、できるだけ多く英語を使用させるように工夫している。例えば、リスニング中心の「コミュニケーション英語Ｂ」では、その日のユニットで聞き取りに必要な重要語句を学生にクイズ形式で確認させる、聞き取れた単語から内容を推測してパートナーに説明させる、聞き取り後に内容を話し合う、といった活動を取り入れている。
　これらの授業の特徴は、自然なスピードと発音を重視している点だ。教科書付属のＣＤを繰り返し聞くように指導し、ネイティブの英語に慣れさせるようにしている。また、言語は４技能（読む、聞く、書く、話す）を使った活動で身に付くとの考えから、スピーキングやリスニング中心の授業にも、教科書に長文のエッセイや記事を盛り込み、４技能を同時にトレーニングできるように組み立てている。

　このように、愛媛大学の英語の授業は学生の活動に重点を置き、実践的なコミュニケーション能力を育成している。しかし、折本教授は「授業だけでは英語力は飛躍的には伸びない。自宅での課題学習や自主学習も含めた地道な基礎トレーニングが必要」と強調する。そのため、「英語教育センター」は授業外活動も積極的に支援する。
　その一つが「語学自習室」だ（写真３）。50台のパソコンを設置して、語学自習ソフト、リスニング教材、英単語学習教材などを学生が朝９時から夜８時まで自由に使えるように環境を整えている。また、英語教育センターの事務室に隣接している「学生英語学習サポートルーム」では、多読用の書籍や英語の映画ＤＶＤなどの自由な閲覧・視聴が可能である。
　このほか、ネイティブ教員と英語で自由に語り合うプログラム「Talk, Talk, Talk」は、すぐに予約が埋まるほど学生に好評だ。英語による心理学の講義や手品を紹介するミニ講義「英語楽習コース」も人気。2006年度には、自宅で英語学習ができるｅ-ラーニングを利用した「英語自律学習コース」の試験的提供も始めた。「これらについては、現在は単位として認めていないが、学生が授業外で英語を実践できる機会を、キャンパス内外にできるだけ増やしたい」（折本教授）