従来と一線を画す英語教育によって、学生はどのように変化したのだろうか。折本教授は学生の態度が大きく変化したと話す。
　「以前はネイティブ教員を見かけると避ける学生が多かったが、ネイティブ教員の授業を通して英語を使う喜びが浸透した。今では学生から声を掛ける姿もよく見られ、ネイティブ教員の研究室を訪れる学生が増えている。この意欲を大切に伸ばしていきたい」
　新プログラム導入の翌年に実施した英語の授業に関する授業評価アンケート調査の結果では、活動中心型の授業に対する肯定的な評価（「強くそう思う」と「そう思う」の合計、以下同じ）は、７割を超えた（図２）。「この授業を受けて、私の英語能力が伸びたと思う」に肯定的な評価をした学生は４割弱だったが、「この授業で学んだことは将来役に立つと思う」に肯定的な学生は、６割以上いた。

　注目すべき点は、教員の教育技術・努力・誠意などに関する肯定的評価が非常に高いことだ。「英語教育に教員が積極的に関与することで、教員と学生の距離が縮まったことが大きいのではないか」と、折本教授は分析する。
　折本教授が独自に行っているアンケートでは、学生は「話せる」「聞ける」「読める」「書ける」の順に英語力を高めたいと思っている、という結果が出ている。また、2005年度に「英語教育センター」が行った約500社へのアンケート調査の結果、企業が最も強く求める能力は「現場でコミュニケーションできる能力・交渉能力」であり、４技能に大差はないが、あえていえば「話せる」「聞ける」「読める」「書ける」という順位であることも分かった。
　「こうした結果を見ても、実践的なコミュニケーション能力育成を掲げた英語教育改革の方向性は間違っていなかったと確信している」（折本教授）