諸外国でも「社会人基礎力」に相当する概念は、大学卒業者に共通に求められる汎用的な能力である「ジェネリックスキル」として重視され、既にその育成に向けた取り組みが始まっている。諏訪教授によれば、アメリカでは、『Newsweek』が社会人として必要とされる能力の頭文字を取ってまとめた“COLLEGE”が、学士課程教育の目標という考え方もある。すなわち、Communication Skills(コミュニケーション能力)、Organizational Skills(組織をつくる力)、Leadership(統率力)、Logic(論理力)、Effort(目的に向けて努力する力。計画力と実行力を合わせたようなもの)、Group Work(仲間と力を合わせていく力)、Entrepreneurship(起業家精神)の7つの能力だ。
「学士課程教育の目標が、高度な知識の修得ではないことに注目する必要がある。アメリカの大学では、学部でリベラルアーツを身に付け、専門の勉強は大学院以上でという考え方が一般的だが、このアーツには「技術」「能力」といった意味がある。リベラルアーツとは『既存の考えや既成概念に左右されず(リベラル)に、自分の頭で考えられるようにする手法(アーツ)』ということであり、リベラルアーツを学ぶこと、すなわち“COLLEGE”に象徴される能力を身に付けることが学士課程教育とされている」
日本では、諏訪教授が中心になり社会人基礎力を定式化した(表1)。
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