企画1

かわむら・よしお

かわむら・よしお

◎1944年生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程単位修得退学。コーネル大学大学院博士課程修了、Ph.D.(発展社会学)取得。龍谷大学経済学部助教授を経て、1985年、同教授に就任。同大学大学院経済学研究科長、副学長等を歴任。2007年より教学部長および大学教育開発センター長(兼務)

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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龍谷大学 大学教育開発センター センター長 河村能夫

教員個々のFD活動を集約して普遍化し
全学に発信することで教育改革を推進

教員が各々で行ってきたFD活動を全学に還元していく機関として龍谷大学の「大学教育開発センター」が2001年に設立された。
同大学の長期計画に掲げられている目標の一つである「学部教育における基礎教育と教養教育」の質的拡充等を目指し学生の授業評価や教材などの開発研究事業等を推進している。

「大学教育開発センター」の設立経緯と学内での位置付け

 龍谷大学では、1975年から5〜10年単位で長期計画を立て、大学改革に取り組んでいる。現在は、2000年からの第4次長期計画「Ryukoku21」の下に改革を推進している。
 当然のことながら、いずれの長期計画においても、中心は教育改革だ。改革の基本的な枠組みは第2次長期計画(1985〜1990年)で確立され、学士課程教育では「バランスの取れた高度な教養人・市民の育成」を、大学院教育では「高度な専門的職業人・研究者の育成」を目標としている。この時期には、セメスター制、GPA制等を導入して、学士課程教育に重点を置いた制度的基盤改革に取り組んだ。
 第3次長期計画(1991〜1999年)では、大学院の拡充、学士課程教育の多様化と質的充実が改革の主軸だった。経済・経営・法の各学部では、共通コース(国際関係、英語コミュニケーション、環境サイエンス、スポーツサイエンス)も主専攻扱いとして卒業可能とした。これは学士課程教育の多様化を象徴する改革だった。
 これらの実績に基づいて立てられた第4次長期計画では、学士課程教育における基礎教育と教養教育の質的拡充、専門教育の選択的充実、大学院教育の峻(しゅん)別化と選択的高度化を改革の主軸としている。これらの目標達成のため、FDに関わる機関の設置が優先課題の一つとなり、2001年4月に「大学教育開発センター(以下、センター)」が設置された。
 「センター設置規程」では、(1)センター長、(2)センター会議、(3)センター運営委員会、(4)プロジェクトの設置、(5)センター研究員の配置、(6)センター事務室、が組織構成として規定されている。事業展開においては、各学部等教学主体との連携が重要であり、事業の検討を行う運営委員会には、学部等教学主体から推薦される者が参画できる体制となっている。
 学部等教学主体の下で行われているFD活動については、従来通り教学主体が推進母体となり、当センターはこれを支援・協力し、その活動を学内外に発信し、大学全体としてのFD活動への展開に結び付けようとしている。
 「センター事務室」では、(1)教材開発作業に関わる支援・各プロジェクト活動の支援、(2)学内外の教育関係の情報・資料の収集・管理(データベースの構築等)、(3)研究開発資料の保管管理、(4)センター会議・センター運営委員会の運営業務、など運営に関わる事務と各々の機能を支援している。

図表


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