企画1

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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ボトムアップ型組織下での教育改革

 立教大学の教育改善課題の実現のために取り組んできた経験から見えてきたいくつかの課題を簡単にまとめる。
 本学のように伝統的にボトムアップ型の文化の下で、全学的な教学改善あるいはFDの義務化への対応という政策的課題をいかに達成するのか、また、個性的な教員の集団をいかに組織化して教育改善のレベルを上げるか、という課題である。
 トップダウンが有効とは思えない。だとすると、個々の教員が授業改善に取り組んできた良き伝統と、部局の積極的取り組みの積み重ねによって教育改革を実現してきたという現場の実績に、総長がリーダーシップを有機的に加味することが有効であろう。総長は、教職員が分かりやすく共有しやすい形で立教大学のビジョンを発信して、そのビジョンの下で早急に取り組むべき優先順位の高い政策的課題を明確にする。その上で、個々の教員や部局の自発的な改善努力を有効に組織化する仕組みをつくることが必要だろう。そこに、当センターのコンサルタントとしての働きを実効性のあるものとして組み込みたいと願っている。
 しかし、財政的・人的資源が乏しい現状で、仕組みをどのようにつくっていくべきか。これは本学だけでなく、すべての大学、特に私立大学における共通の悩みである。変化の激しい現在において、正解が前もっては分からない状況で将来に向けて正しい選択をいかにし続けるのか。今こそ大学人の英知を結集して、より良き選択を積み重ねる以外にないであろう。そのためには、教育改革を支援する部局の大学間連携が、真に求められている。


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